授業風景
「地域における多文化共生のまちづくり」の授業を紹介します
本講義では、異文化理解や多文化共生についての基礎知識を身につけ、また地域の外国人住民の背景を知り、違いを受け入れるための取り組みや、必要とされる支援について一緒に考えます。明確な答えがないテーマについて様々な視点で情報を収集し、自分なりの考えを持ち、主体性をもって行動できることを目的としています。
豊岡で日本語教育と外国人材受け入れ支援をされている「にほんごぷらす」代表の河本美代子先生に講師として来ていただいています。 (日本語教育 | にほんごぷらす|豊岡 (nihongo-plus.com))
今回の講義テーマは「やさしい日本語の基礎知識と話し方のコツを覚えよう」でした。やさしい日本語とは、人に優しいこと・文が易しいことを意味しています。やさしい日本語に正解はなく、今よりもやさしい言葉を使うよう心がけることが大切とのことです。
日本に住む外国人は30年間で約3倍に増えており、彼らが使う言語は、公用語上位10位の中で9言語にも及ぶそうです。統計によると、外国人が日常生活に困らない言語としては英語よりも日本語の割合が高いため、日本に住んでいる外国人にはやさしい日本語で話しかける方が言葉が理解しやすいと教員から説明がありました。
まず、日本語のどういうところが難しいか?について学生同士で話し合い、意見を出しました。上司、同僚、家族、友人など話す相手によって話し方が変わるところや、様々な種類のオノマトペ(擬音語・擬態語)があること、ひらがな、漢字、カタカナ、数字、英語のすべてを使って文章を作るところなどがあがりました。
次に、外国人にとって「やさしい日本語」とはどのようなものなのか、具体例をもとに考えてみました。下記①から⑥の右の表現より左の表現の方が外国人には理解しやすい言葉となります。
① 〇返す △返却する
② 〇借りる △レンタルする
③ 〇誕生日 △生年月日
④ 〇お腹がすいた △お腹がぺこぺこ
⑤ 〇食べる △召し上がる
⑥ 〇すごい △がっせぇ(但馬の方言)
他にも、便利なサイトやアプリを利用するという方法もあります。ホームページのURLを入力するとサイト内の全ての日本語にルビをうってくれるサイトや、日本語でしゃべった言葉をそのまま多言語に翻訳してしゃべってくれるアプリなどの紹介がありました。
授業の最後には、隣同士でペアになり先生から出された課題に取り組みました。日本語の表現や文章をどうすれば少しでもやさしい日本語に直せるか学生同士で議論しました。
また、日本語の単語がわかっても、理解できないこともあるそうです。例えば、「暖かい服装でおでかけください」というのは、理解しづらい文章です。地域によって「暖かい」の基準が違うため、どのくらいの暖かさなのか、何を着ればいいのかなどハッキリせず、やさしい日本語ではありません。
他にも、次のような例が挙げられました。
A「よかったら一緒に食事に行きませんか?」
B「すみません、今日はちょっと......。また、ハイ.........」
Bのような回答は、やさしい日本語ではないそうです。察して文化は日本特有のため、この回答だと次回以降、またAの外国人の方に誘われてしまう可能性が高いです。
教員から「言葉の背景には必ずその国の文化がある。日本語がわかっても、理解できないこともある。国によって当たり前はちがうので、一方的な伝達にならないように相手の声をよく聞き、言葉以外の表情などを使ったコミュニケーションも大切にしてください」とお話がありました。