授業風景
「空間デザイン入門」の授業を紹介します
本日ご紹介するのは「空間デザイン入門」の授業です。
この講義では、舞台芸術のみならず日常から祝祭までを視野にいれた空間デザインの基礎知識を得ると共に授業内で扱うテーマについてのグループディスカッションやグループワークと授業外学習を通して、空間デザインの構想方法と他者とのコラボレーションの方法を修得することを目的としています。
講義の前半では、教員から「景」「間」「ミチ」「ハシ」について解説がありました。これらの概念は日本の芸能空間の原初であり、古い絵画にも多く用いられています。教員が様々な具体例を挙げて解説しながら、日本の空間概念について理解を深めました。
また、西洋と日本の空間認識の違いについても学修しました。
西洋では、絵画や舞台などにおいて、焦点を定めた遠近法を重視しています。それに対し日本では、絵巻物などの作品に見られるように、焦点を定めずに視点が様々な場所に移っていくような構造になっていると説明があり、絵画から空間認識の違いを確認していました。
そして講義の後半では、学生がグループに分かれて身近にある日本の空間の発想について調べ、その後、全員の前で中間発表を行いました。
あるグループでは、神社の石畳が空間にもたらす作用について発表していました。
「なぜ石畳はコンクリ―トではないのか」という疑問から、雨が降った時に滑りやすくなってしまうことの空間への作用や心理的作用、また、石畳であることでつくられる「場」の雰囲気や身体的動作に及ぼす影響まで、様々な面から空間への影響を分析していました。
また、別のグループは、「待つ」という概念にフォーカスしていました。
例えば「ししおどし」は、元は鳥や獣を追い払う目的で作られたものですが、その音や音が出るまでの時間を無意識に待ってしまうことがあります。これは、待つという「間」が生まれています。
相撲の「はっけよーい、のこった」という掛け声については、元は取り組んでいない相撲を早く取り組ませるための掛け声だったようです。その点を取り上げ、早く取り組ませる為の掛け声が、取り組みを「待つ」という「間」の役割になっていることについての矛盾点等を挙げながら、分析していました。
他にも茶室の待合や神社の参道、平安時代の行事から『曲水の宴』を引用し、目的にたどり着くまでの「間(空間)」について触れ、発表していました。
今後、グループで出た空間の発想をさらにブラッシュアップし、模型を作ったり、実演をすることで、自分たちの空間デザインを視覚化するようです。