授業風景
「演劇入門」の授業を紹介します
新入生を迎え、理論をメインに学ぶ第1クオーターが始まりました。本日ご紹介するのは『演劇入門』の講義です。
本講義は、文化人類学的な演劇の起源、西洋演劇史、日本演劇史など、歴史的概観を縦軸に、現在の戯曲論と演出論、演技論、舞台制作論を横軸において、立体的に演劇の実践と演劇論の全体像をつかむ構成となっています。また、「人はなぜ演じるのか」「なぜ、人類は演劇を必要としてきたのか」といった根源的な問いかけから出発し、現状の世界演劇の俯瞰図、およびその体系を把握することを最終目標としています。
今回の講義では、前半は哲学とギリシャ悲劇とアテネ民主制の関係性について、後半は舞台芸術としての漫才を分析していました。
まず、哲学とギリシャ悲劇とアテネ民主制の関係について、
当時、対話・言論の技術である『弁証法』がソクラテスやプラトンによって提唱されていたこと、アテネで人民が自分たちで物事を決める民主制が導入されたこと、アテネで行われていた競技的な演劇祭の役割という、これらの三位一体的な発展や変遷について学んでいました。また、演劇内の死の描き方など当時の時代性とともに学んでおり、学生たちは興味深そうに多く質問も出していました。
また、ニヒリズムや「神は死んだ」という言葉で有名なフリードリヒ・ニーチェについても触れ、ギリシャ悲劇(演劇)には「理性的」なものも「情動的」なものも必要だという彼の哲学と、なぜこのような考えになったかというニーチェの人間性についての通説や音楽の好みまで、ユーモアたっぷりに講義が展開されていました。
後半では、舞台芸術を批評・分析することの初手として、漫才を分析していきました。
1970年代〜2010年代までを代表する漫才を数本見てから、内容ではなく、演出上どのように変化したのかを分析します。
その後、自分の好きな漫才の演出を分析して語る場が設けられ、ボケとツッコミの割合・持ちネタの披露の有無・大声、スピード感など様々な意見が出されていました。
時代の変化や流れによって漫才の形が変わっていく場合や、スーパースターが現れて一気 に変わる場合もあるようです。学生は学長自らの実体験に真剣に耳を傾けていました。