芸術文化観光専門職大学

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授業風景

「ニューツーリズム論」の授業を紹介します。

本講義では、テーマ性が強く、体験型・交流型の要素を取り入れた「新しい観光」(ニューツーリズム・オルタナティブツーリズム)の展開過程を紹介します。

日本を含む主要観光国における「新しい観光」の動向・産業としての可能性と課題・政策と制度に関する動向を理解できること、そして諸外国と比較した上で、日本の観光政策における「新しい観光」のあり方について考察し、自分の言葉で説明することができることを講義の目的としています。

この日の講義では、「ホスト社会に資する文化観光とはどのようなものか?」について学びました。(ホスト社会とは、観光を提供する側のことを意味します)

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まずは、教員から「文化の真正性」について解説がありました。社会学者のゴフマンは、観光には表舞台と裏舞台があり、裏舞台こそが「ほんもの」の文化であると唱えています。表舞台とは観光客に見えている部分、裏舞台は観光客には見えていない部分を意味します。

しかし、人類学者のマキャーネルはこの意見に異を唱えています。「ほんもの」風に演出された裏舞台は観光資源として、既に商品化されているとマキャーネルは唱えました。現在、実例として、東京ディズニーランドにあるジャングルクルーズ、ワイルドライフ・エクスペディションはアフリカのアマゾンの中をクルーズで進んでいくというアトラクションです。観光客はほんもののアマゾンではないことを理解していますが、十分に楽しむことができます。

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また、教員から観光を商品化するためには「ほんもの」など使えないという話もありました。観光のように時間が限られている中では本当の意味での裏舞台を見ることはできないからです。

例として、教員が研究でアフリカのボツワナを訪れた際に、文化観光を体験した話がありました。内容はシャーマニズムの儀式を鑑賞するというものでしたが、途中、儀式をしていた方がトランス状態(陶酔したような状態)に陥り、観光客は何が起こっているのか分からない事態になったそうです。これはホスト社会で、観光用とリアルな生活を切り分けていないことを意味しています。観光の商品化が不十分であるととらえることもできるし、観光と生活を切り分けることがホスト社会にとって良いことなのか、という問いを立てることもできます。

また、「伝統の再創造」における観光の商品化の例として、インドネシアのバリ島の伝統ダンス「ケチャ」が挙げられます。これはバリに住んでいたドイツ人画家が地元の人々と共同で、新たな振付や関係のない物語と結びつけ、観光客が満足する劇に作り直したものです。

まとめとして、ホスト社会にとっての観光とは、観光客のニーズに答える努力をすること、観光客から自分たちの生活を守ること、経済的利益を獲得すること、そして観光に携わることで自分達のアイデンティティを形成することであると教員から説明がありました。

ニューツーリズム論③.jpg

その後、学生達はグループに分かれて「ホスト社会に資する体験型観光」について議論を交わしました。学生からは、ホスト社会側と観光客側、どの立場から見るかによって「リアル」か「フェイク」かが異なるのでないか、知らぬが仏(結果として「ほんもの」を知らない方が良かった)になってしまうかもしれないので、ホスト社会が「リアル」か「フェイク」かを決めてしまえばいいのではないかなど、「文化の真正性」について様々な意見が出ました。

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