授業風景
集中講義「地域とつながる歴史学」の授業風景
本日ご紹介する講義は、集中講義『地域とつながる歴史学』です。今回は、大阪大学名誉教授・桃木至朗さんに3日間講義をしていただきました。
この講義では、歴史は暗記するだけ・現代の役に立たないなどの間違いを理解し、創作などの「物語」と事実に基づく解釈の一種としての「歴史」を区別する力を身につけ、それらを土台として、地域や日本・世界の歴史を結び付けて理解し、歴史と文化・芸能を材料にして地域・日本・世界の人々をつなげる方法を考えることを目的としています。
今回は、まとめの時間として、『歴史をどう活かすか?』を考えるため、次のような課題に取り組みました。
1、ある地方の歴史や偉人、文化・芸術を有名にする方法は、東京のテレビで取り上げたり、中学・高校の教科書に掲載するなど、日本国内で日本語を使って宣伝する方法しかないのか。
2、文化・芸術・芸能を核に国際的な地域振興をしている代表的な例を整理しよう。そこに歴史(たとえば「世界遺産」に指定されるものなども)がどうからめられているか、いないかも考えること。
3、観光を軸とした地域振興には、どんなプラス面とマイナス面があるか整理しよう。
4、この講義の内容や考え方のうちであなたが興味を持った部分を、地域での文化・芸術・観光などの活動に結びつけるシナリオを書こう。可能であれば、これまでの地域振興がもっていた一過性のブームで終わるなどの限界も考えて、持続的な地域活動を可能にするために地域・国や世界の何を変える必要があるかについても論じてみよう。
4の内容を、学生は個人・またはペアで考え、構想を発表し、教員や他の学生と意見交換を行いました。最終的な課題提出は1か月後であり、提出形式は自由度が高く、ドラマのようなシナリオにしても良いということで、今回の意見交換をふまえ様々な発想がありました。
あるペアは、現在は城跡のみが残っている辺りに、城を再建したらどうか、という案を出しました。ただ再建するだけではなく、宿泊できる城を再建し、多様なイベント事にも使える施設にする案です。現在、城泊(キャッスルステイ)を実施している城もありますが、さらに発展させ、城下町の穏やかな場所や戦の渦中を再現したような緊迫した場所もつくり、地元にたくさんの人が訪れる場所にしたいと発表していました。
その案を聞き、実際に実現するには課題や懸念事項が多くあることを皆で確認しつつ、今回の授業ではアイデアを出すことを重視し、自分たちの考えをまとめていました。