授業風景
集中講義「文学」の授業風景
本日ご紹介する講義は、集中講義『文学』です。集中講義は、短期間で学修することを念頭に置いた講義であり、今回は3日間、外部講師・高橋源一郎先生に講義をしていただきました。
この講義では、文学とは何かについて理解し、人間が生きていく上での重要なツールとして「文学的手法」を身につけ、文学と呼ばれるものの想像以上の広さを理解し、多角的、多面的な「文学観」を手に入れることを目的としています。
今回の授業では、荒川洋治氏の著作『慈愛の顔』『おかのうえの波』を題材に講義が展開されました。
『慈愛の顔』を題材とした講義では、ひとりの学生が指名され、音読をし、読み終えると順番に感想を言います。この文章を「どう感じたのか」「どこが好きか」「なぜそう感じたのか」などを、自分の言葉で、経験と照らし合わせながら言葉にしていきました。
このように感想を言い合うことで、題材の文章や内容について、どう考えているのかを掘り下げることができます。詩人でもある荒川氏の「ことば」のリズムを感じ取った学生もいました。
そこから、句読点がつくる文章のリズムや、ひらがな表記と漢字表記の効果についても触れ、自分を先に立てていく時代である「現代」と、その中をふと通り過ぎる「慈愛」について、考察していきました。
次に、『慈愛の顔』を引用しながら『おかのうえの波』を題材に講義が展開されました。『おかのうえの波』は、荒川氏自身の「文章を書くときの心がけ」を記した著作です。
文章を書くときの条件やリズムなど、気を付けていることをわかりやすく表現した文章は、「こんな風に書いているんだ」「比喩表現がすごくわかりやすい」「ひらがな表記が多い」「通常、おかのうえに波は来ないのでタイトルがおもしろい」「波はリズムかも」などの感想を学生に抱かせ、また、荒川氏の「書くときの心がけ」を、この文章自体で実践しているのではないか等、考察をより深めていました。