芸術文化観光専門職大学

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入学式を挙行しました

2025年4月2日、5期生87人の新入生が出席し、入学式を執り行いました。

平田オリザ学長は「皆さんはいま、人類の長い知の営みのその先端に立っています。その誇りを持って、その自負を持って、これからの四年間を過ごしていただければと願います。」と式辞を述べました。

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     芸術文化観光専門職大学第五期生の皆さん、ご入学おめでとうございます。教職員、在校生一同、皆さんを心より歓迎いたします。

    本学は、二○二一年,それまで四年制大学のなかったこの但馬地方に、地域の大きな期待を担って開学しました。
    そして二週間前、ちょうど、この場所で私たちは、本学最初の卒業式を挙行しました。栄えある一期生たちは、就職に進学に華々しい成果を上げ、この学び舎を巣立っていきました。そして今日、新たに八七名の五期生を迎えることができました。
     最初の卒業生を送り出すにあたって何よりうれしかったのは、一期生の誰もが、「但馬が大好きです。豊岡に暮らしてよかった」と口々に言ってくれたことです。東京や神戸の企業に就職が決まった学生のなかにも、「いずれ但馬に戻ることも考えている」と言う人が何人もいました。このことは昨日の神戸新聞但馬版でも「豊岡に来てよかった」という大きな見出しとともに取り上げられました。

     きっと皆さんも、これからの四年間を,この地で過ごすことで、但馬を大好きになってくれることでしょう。
    それほどにここは魅力的な場所です。勉強はもちろんですが、四季折々のレジャー,温泉はもとより、海水浴やスキー、キャンプなどもぜひ積極的に出かけていってください。友と遊び、語り合い、美味しいものを食べ歩き、存分に但馬ライフを楽しんでください。

    ここにいるほとんどの学生にとっては、人生で初めての一人暮らしが始まります。ご家族の皆様におかれましては、まだまだご心配のことも多いかと存じます。しかしながら現在、大学入学者は全員が新成人となります。選挙権を持ち、様々な契約を自己の判断で行い、そして一定の社会的責任も負う存在です。私たち教職員は学生一人ひとりを自立した個人として扱い、人格と人権を尊重し、そして一方で新しい生活と学びのサポートを全力で行ってまいります。
     また、開学五年目を迎えます本学について日頃より多大なるご支援、ご協力をいただいております斎藤元彦兵庫県知事、國井総一郎兵庫県公立大学法人理事長、浜田知昭県議会議長はじめ県議会の皆様、兄弟校である兵庫県立大学の皆様、周辺自治体の市長、町長様、そしてなにより但馬の地域のすべての住民の皆様に、あらためて心から感謝申し上げます。ここまでのご支援、ありがとうございました。
    これから皆さんは、すぐにでも様々な形で地域の人たちとふれあい、一緒にイベントに参加したり実習でお世話になったりします。これほどに地域に密着した大学も珍しいだろうと思うほどに、この大学は但馬の皆さんに支えられている大学です。積極的に町に出て交流を楽しみ、またそこから多くのことを学んでください。人口減少という脅威にさらされている地方の厳しさも実感してください。

     さて、先日もミャンマーで大きな地震がありました。一昨日は南海トラフ巨大地震についての最新の被害想定が発表されました。
     今年は阪神淡路大震災から三十年という兵庫県にとっては節目の年にあたります。そして但馬地方にとっては、北但大震災から百年というさらなる節目の年となります。皆さんには防災についての意識を,一層高めていただければと願います。

     今年、本学では、城崎温泉の皆さんと協力して、現在、北但大震災とそこからの復興を描く演劇作品を制作しています。
    また昨年は豊岡が生んだ偉大な冒険家植村直己さんがアラスカで消息を絶ってから四十年目に当たる年でした。現在本学では、植村直己さんと、彼をテーマにした松任谷由実さんの楽曲「星のクライマー」を元にした演劇作品も製作中です。松任谷由実さんには,先月、本学においでいただき、学生たちの稽古風景も見ていただきました。
     これらの作品は、単なるイベントでの上演ではなく、いずれもこの地域で繰り返し上演できるような普遍性のある,クオリティの高いものを目指しています。いま作品を創っているのは上級生ですが、出演するのはここにいる皆さんかもしれません。
    こういった長く繰り返し上演される作品を、演劇やダンス、オペラなどの業界では「レパートリー」と呼びます。ヨーロッパにおいては、劇場のミッション、役割は、人類共有の財産となるようなレパートリー、名作を作っていくことなのです。そしてこのレパートリーは、観光資源ともなっていきます。このことについては、皆さんはすぐに私の授業「芸術文化と観光」の中で学びますから、ここでは深くは触れません。
     皆さんにとって,これまで劇場やコンサートホールは、演劇を観る場所、音楽を聴きに行くところだったかと思います。しかし劇場の役割は,ただ鑑賞にとどまらず、創造=クリエイションにあるのです。
    大学も同様です。大学はただ知識や情報を学ぶ場ではなく、考え、創造する場,クリエイティブな機関です。理系の研究者たちが、仮説を立て実験を繰り返し,何かを証明し、そしてそれがやがて人類の進歩の役に立つように、皆さんの学びもまた世界の未来のためにあります。
    大災害が起こると多くのアーティストがボランティアに駆けつけます。有名な歌手やアイドルが行けば喜ばれることは確かですが、しかしそこで最も人々を慰めるのは長年歌い継がれてきた唱歌であったりクラシック音楽の演奏だと言われています。
    私たちはいま、百年、二百年前に作られた音楽によって魂を慰められます。何百年も前に描かれた絵画を見て心が落ち着くこともあるでしょう。そして二千五百年前に描かれたギリシャ悲劇を観て、国家や人間とは何かについて考えます。
     逆に言えば、私たちアーティストは百年後、二百年後の地球の裏側の被災者や難民のために作品を作っていると言っても過言ではない。
     ここが高校までの勉強、学習と、大学における学問との大きな違いです。
     学習とは、人類の遺産から知識や情報を得ることです。しかし今日から大学生になった皆さんは、これまでに得た、あるいはこれから得るであろう知識や情報を組み合わせ、新しい付加価値を加えて何かを創造(クリエイト)しなければなりません。
    皆さんはいま、人類の長い知の営みのその先端に立っています。その誇りを持って、その自負を持って、これからの四年間を過ごしていただければと願います。

    皆さんには輝かしい未来が待っていますが、しかし世界に目を向ければ、決して未来は輝かしいばかりではありません。世界経済の大きな混乱が起こる可能性は否定できませんし、大きな戦闘が日本の周辺で起こるかもしれません。これまで人類が営々と培ってきた差別や偏見との戦いが無と化してしまうような危惧も迫っています。
    残念ながら、観光や芸術では戦争を止めることは出来ません。しかし私たちは希望を捨ててはならない。
    ここから先は,昨年もこの場で申し上げたことですが、大事なことなので、ほぼ同じ内容をもう一度繰り返したいと思います。
    いつの日か、あさご芸術の森や城崎国際アートセンターで、ロシアのアーティストとウクライナのアーティストがともに作品を創る日を夢見ましょう。イスラエルの民とパレスチナの民が、神鍋やハチ北高原でともにスキーを楽しむ日を信じましょう。城崎温泉や湯村温泉で、戦いに疲れた兵士やその家族が心の傷を癒やす日を思い浮かべましょう。香住や浜坂の蟹料理をすべての国の人々が楽しめる世界を創りましょう。
    人種や民族や宗教、そしてあらゆる性的指向や性自認の差異によって差別されることのない社会を目指しましょう。
    政治や軍事力以外に、国家が行使できる力をソフトパワーと呼びます。観光と芸術は日本にとっての最大、最良のソフトパワーです。
    地域を笑顔に、世界を平和にするために、皆さんは本学で観光と芸術を学びます。
    希望を捨ててはならない。
    兵庫県、あるいは但馬にとって節目の年である本年は、日本国にとっても敗戦から八十年という大きな節目の年です。
    八○年前までの三五年間、日本は朝鮮半島を植民地化し過酷な収奪を行った歴史があります。
     この戦後八十年間のちょうど中間点、四十年前、私はソウルの大学に留学していました。まだまだ日本からの留学生は数えるほどしかいない時代でした。
     しかしいま、本学では毎年、韓国や台湾との交換留学が盛んに行われ、同じ寮に暮らして友情を育んでいます。今日も一人、この入学式には韓国の中央大学からの留学生が列席しています。
    アジアの国々との若者たちの交流は、もっともっと盛んになっていくことでしょう。

    希望を捨ててはならない。
    The important thing is, don’t ever give up. Don’t ever give up. Don’t stop trying to make the world a better place.
    これはカマラ・ハリスさんが大統領選挙に敗れたあとの敗北の弁で語った言葉です。
    「大事なことは、決して諦めないことだ。諦めてはならない。この世界をよりよい場所にする努力を止めてはならない」
     この演説は、さらに以下のように続きます。
    「あなた方には力がある。能力がある。そして、前例がないからといって何かを不可能だときめつける人に耳を貸してはならない」

    あらためて、入学おめでとうございます。
    これから皆さんは,先輩たちから、一期生がいかに変わった人たちが多かったか、様々な伝説を聞くことになるでしょう。私たちはこの四年間、新しい、日本のどこにもない、前例のない大学を育ててきました。今日、本学は、一期生がいない初めての春を迎えます。そして君たちが、新しいページをめくります。
     ここにいる新しい友と、最上級生であることにまだ慣れていない二期生と、君たちの入学を本当に心待ちにしていた三期生、四期生たちと、そしてすべての教職員が手を取り合って、さらに新しい大学を作っていきましょう。
    私たちの冒険は,まだ始まったばかりです。
     皆さんを心から歓迎します。

     令和七年四月二日

     芸術文化観光専門職大学 学長
     平田オリザ

齊藤知事、浜田議会議長をはじめ、多くの来賓にご臨席いただきました。

厳粛でありながら新たな一歩を踏み出す決意と希望に満ちた空気に包まれる中、新入生代表の中川響香さんが「たくさんの笑顔の花を咲かせられるよう、仲間と共に、切磋琢磨しながら挑戦し続けることを誓います」と宣誓を行いました。

大学主催の第一部入学式終了後は学生会主催による第二部を実施したほか、ステラリウムで在学生が演奏、漫才、ダンスなどで5期生を歓迎しました。

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