アートマネジメント
藤野 一夫
FUJINO KAZUO
教授
経歴・資格
神戸大学名誉教授、ベルリン自由大学などドイツの多数の大学でフェローや客員教授を歴任
学生へのメッセージ
幾多のアートマネジメントの挑戦から確信を得た持論がある。国家や大都市の総力を上げた巨大イベントは虚栄にすぎない。それは造花か、せいぜい切り花として短期間に消費されてしまい、人間と社会を耕す持続的な媒体とはならない。市民たちの自発的なプロジェクトを新たに生み出す豊かな土壌にはならない、という認識である。
市民と学生と芸術家が主体となった手作りのアートプロジェクトをインターローカルに仕掛けていくこと。国境が閉ざされたパンデミックの時代だからこそ必要不可欠なことだ。当面は身体的接触を避けなければならないとしても、他者への想像力の源泉を枯れさせてはならない。もはやメガ・プロジェクトは必要ない。マイクロ・プロジェクトが国境を超えてローカルとローカルをつなぎ、無数に並存することが人間的共同体の定常となるべきなのだ。手触りの公共圏がゆるやかにつながり、お互いの信頼関係がじっくりと醸成されてゆく。そのための土壌を耕すことが文化である。このようなマイクロ・プロジェクトを基礎単位とするインターローカルな文化的コモンズを地道につくっていきたい。
研究テーマ
文化政策、アートマネジメント、音楽文化論、ドイツ思想史
主な業績・受賞歴など
『公共文化施設の公共性:運営・連携・哲学』『基礎自治体の文化政策:まちにアートが必要なわけ』『市民がつくる社会文化:ドイツの理念・運動・政策』『みんなの文化政策講義:文化的コモンズをつくるために』(以上 水曜社)『地域主権の国 ドイツの文化政策:人格の自由な発展と地方創生のために』(美学出版)『ワーグナー事典』(東京書籍)『ワーグナー 友人たちへの伝言』(共訳、法政大学出版局)など。 日本ワーグナー賞(懸賞論文)最上位入選。
社会的貢献・活動など
日本文化政策学会会長、文化経済学会<日本>理事、(公財)びわ湖芸術文化財団理事、(公財)神戸市民文化振興財団理事、(公財)尼崎市文化振興財団理事、(公財)明石文化芸術創生財団評議員、日本ワーグナー協会理事、豊中市文化芸術振興審議会副委員長、堺市文化芸術審議会副会長、吹田市文化審議会委員長、八尾市芸術文化振興審議会会長、東大阪市文化芸術審議会委員、徳島文化芸術ホール管理運営検討委員会委員長、(独法)日本芸術文化振興基金専門委員、日本万博基金国際交流部門委員長、京丹後市文化芸術基本計画策定委員会アドバイザー、その他自治体委員、NPO法人の理事など多数。
但馬の好きなところ・おすすめスポット
寺前から生野の間の播但線沿いの渓谷美