外塗り内服薬
第95回-②:学生BLOG【二人三記】「名残雪」
19年の中で何度も経験したはずなのに、別れはいつも辛いですね。
4年間みんなで一緒に学ぶとは思っていても、寮を離れたり、もとの国に帰る友達がいると寂しさを感じてしまいます。
そして私にも、寮を後にする番が回ってきました。
1年前、はじめて実家や地元を離れ寮生活をスタートさせるときも、今のような気持ちを抱えていました。悲しくて寂しくて不安で仕方なかったです。寮に来てみると、みんな意外とケロッとしていて、全然寂しくなかった、なんて言います。はじめの2日間は特に酷く、寮の仲間がケンタッキーを頬張る中、一人ベッドの中で『大学 退学 いつから』、『大学 退学 初日』等々と調べ続けていました。
この学生ブログを読んでくださっている受験生の方も、どこに進学するのか、実家、地元を離れるかどうかが様々でも、残念ながらいつか別れの時期がやってきます。そしてその不安に苛まれながらも心の準備を進めようとしている人がいることと思います。今回のブログが励ましとはいかずとも、これを読む間だけは安心できるような時間になれば嬉しいなと思っています。
本学に来てから一ヶ月ほどで私は豊岡にすっかり慣れました。自分でもびっくりしました。しかし、慣れると同時に高校の友人や家族と連絡を取る機会が減りました。ゴールデンウィークに帰省したときも、寮から離れるのが寂しいとまで思うときもありました。
去った者は忘れ、去られたものは忘れない、という言葉をどこかで聞きました(なんの言葉か知っている人いたら教えてほしいです)。まさにそんな感覚で、自分こそはそうはならないと思っていながら、しかしそうなっていました。
今の私は寮から少し離れたマンションに友人と二人で住むことになり、このブログを執筆している今日も引っ越し作業に勤しんでいます。
日を追うごとに軽くなっていくような自室の感覚。どこを開けても空っぽの棚や久しぶりに見る壁の白さにびっくりさせられたり。豊岡が冷え込んでいることも確かですが、以前よりもベッドが寒々しくなったのは、きっとそのせいだけではないんだと思います。
たったこれだけが、私の寮生活での気持ちの変化です。はじめは不安でしたが後はずーっと楽しかったです。入寮前までの私からすると、ほんとうに拍子抜けで、幸せでした。退寮は寂しいですが、ルームメイトもいます。しんどいときに、私を頼ってくれる人もいます。だからきっと、入寮のときのように、すぐに慣れてしまうんだと思います。
思い返すまでもなく、実家を離れることは私にとって非常に重要な決断でした。当時の志望理由書のメモを見返すとこうありました。
『勢いや熱にかまけて選択した進路。無謀かもしれず、恥じらいや傷を伴うものかもしれないと知っています。ですが、この選択は、いままでの私にはないものでもあります。私が貴学を志望すること自体が、私が今最も誇ることの出来る決断であり、無謀な挑戦です。』
別れることや旅立つことは、わたしのような人間にとって辛いことです。進もうとしているだけなのに、それがなにかから離れるということになってしまうと、やるせない気持ちになります。いつかこの気持ちを整理できて、言葉にできたらそれも一つ成長なんだろうなと思いながら、今日もまた少し寂しい気持ちの中にいます。
実家を離れ、寮に来て学ぶことが、不安で仕方なくても頑張るあなたを私は応援したいです。このブログを読んでくれたあなたが今不安でも、来てみたら意外となんとかなってしまったりします。なんとかならないときもあります。どちらにせよ、あなたを応援したい人がここにいます。
寮が嫌になったら、うちのルームメイトが作る極上カレーでも食べに来て下さい。
寮が楽しくなってきたら、地元の仲間や家族を思い出して、連絡してあげてください。
しんどくなったら、あなたの”しんどい”をぜひ教えてほしいです。解決はできないかもしれないけど、共感ならできるかもしれません。美味しいものでも食べながら話せば、なんとなくスカッとしますよ。
進んだり去ったり、近づいたり離れたり。変化は恐ろしいものですが、ここにくると変化や刺激こそ喜びだと実感させられます。不安や恐怖もきっとあなたを強くしてくれます。どんと構えて、楽しみに来て下さい!
二人で書く芸観大生日記、二人三記です。思えば私、「外塗り内服薬」のブログは、大学に来て、出会い、そしてお別れする、そんな記録のブログになりました。そして、今回で皆さんとはお別れのようです。
名残雪のように春、皆さんが本学を訪れる時まで私が記憶から消えずに残っていられたら嬉しいです。次は新入生の皆さんが咲かせる桜の樹の下にてお会いしましょう。
お読みいただき、本当にありがとうございました!
ブログ担当者:外塗り内服薬