ヨロコビゲッツ
第75回-②:学生BLOG【二人三記】「Vielen Dank, Deutschland」
Liebes Deutschland
Lange Zeit nicht gesehen! お久しぶりです。
この前のドイツ実習(海外実習B)では大変、お世話になりました。
まだ帰国して一週間ですがドイツでの実習の日々は本当に懐かしく感じます。
残念です。もっともっとドイツを満喫したかった…あの頃に戻りたい、、、(涙)
決して遡りはしない『時』の前で私は何ができるのだろうか。無力さをただ感じずにはいられない。だからこそ、この一瞬一瞬が煌めいて見えるのだろう。そう、タイムマシンがない限りは…
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チャ〜チャララ〜ワン、ツウ、フタリデ〜カク〜ゲイカン〜ダイセイーニッキ!ニニン〜サンキ!ジャジャン!
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というようなドイツを懐かしむ、惜別の思いをブログに書くことになると想像していた私でした。
が、今週の金曜日にブログが投稿される時はハンブルク、ドイツにまだいます。ドイツにいる実感を噛み締めつつ(ホテルのベットの上でうつ伏せになりながら、ゆっくり書けるという喜びも噛み締めつつ)何を書こうかな(時差があるから今、原稿を送っても大丈夫なのか)と考えている私がいます。
しかし、そんな私も一週間後にはドイツの別れを惜しむ自分になっている。時間が私のことを気にもしないで進み続けるならば…。
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『ドイツ』と聞いて何をイメージするでしょうか。
車はベンツ、ソーセージ、パン、サッカー、ベートーヴェン、ゲーテ、第2次世界大戦、ベルリンの壁、、、
一人ひとりのアイデンティティを考えればその答えはもっと広がると思いますが、私の当初のイメージはその程度でした。特にサッカーのワールドカップでドイツと対戦したことは記憶の中ではまだ新しいほうだと思います。
今はどうですかと言われたらこうなりますね。
本当に自然いっぱい
ベルリンの壁を触っちゃったよ〜
移民等、様々な方がおられるが積極的に受け入れている
駅に改札口がないのは当たり前!だから日本帰ったら不便と感じるな
ICE(ドイツ版新幹線)は日本の新幹線よりも絶対乗り心地が良い
車より自転車に轢かれやすい
壁等の落書きは合法やって
Dankeschön!(ありがとう)は飛び交うね
英語基本通じる
3日間連続でコンサートを鑑賞したベルリン・フィルハーモニーホールは世界一のホール!(学生割引+特別割引で一番良い席でロンドン交響楽団の演奏を聴けたのは一生の思い出。指揮はあのサイモン・ラトル氏!スタンディングオベーションで拍手喝采の演奏に立ち会えた!)
です。
そして、実習で学んだことに絞るならば
地域主権の国
ナチスやベルリンの壁などの負の遺産はダークツーリズムとして残している
各州立劇場では専属の俳優、ダンサー、裏方等総勢300人はいるのが当たり前
劇場に楽屋だけでなく、大学のように大道具、小道具、衣装、化粧部の部屋が備わっているのは当たり前
ドラマトゥルクの存在も当たり前(劇場学芸員)
劇場は貸館ではなくレパートリー制でシーズンを通しての上演作品が決まっている
劇場ではシーズンオープニングフェスティバルというものがある
などなどさらに気付きが増えました。
やはり現地に行ってみないとわからないことばかり。私の既存の価値観を壊す経験ばかりでした。
旅先で新しい出会いがあったことは嬉しいことです。
本学の教授(ドイツを世界一愛されている方)とドイツの大学院生(日本の小劇場演劇を愛されている方)も一緒に同行しドイツの都市を巡っていくことになりました。
長年研究されてきた教授の豊富な知識と現地の情報を含めた院生の解説で、訪れた観光地の案内板よりも深い情報を得ることが出来たと思います。
ドイツで活躍されている日本人の演出家や役者の方とも交流ができ、ドイツの劇場の作りや何故ドイツで活動されているかなどのお話を聞くことで演劇を初めてグローバルな視点で捉えることができたと思います。
また、教授の知り合い(博物館の研究員や大学教授、コンサートホールスタッフ、古き友人)の方々とも交流を持てたことは演劇で例えるなら、さらにクライマックスへ連れて行ってくれる心強い助っ人を仲間にできたような感じでした。
ただ、実習を通して痛感したのはいかに日本と歴史的なベースが違うかです。
レストランは教授がおすすめするところ。食事後の会話でもやはり話題になるのが芸術に力を入れているドイツと現状の日本の差です。
ドイツでは各市ごとに大きな劇場を持っており、そこには専属の俳優、裏方がおり、劇場の方向性を決める監督がいます。
日本のように劇場のみが存在するのではなく、一つの劇場が専属の劇団、オーケストラ、バレエ団を持っているようなイメージです。そのため、毎日演劇、オペラ、ダンスなどの公演が劇場で観られます。
また、日本には馴染みのないドラマトゥルクの存在は欠かせません。ドラマトゥルクは劇場版の学芸員のイメージで劇と観客を繋いでいく仕事です。本番前に劇の見所や背景、演出などの解説を観客にします。また、古典劇をやる場合だといかにして観客に本来の意味を伝えるかなどを考えます。脚本、演出家の手助けもするといったいわゆる作品の全てを知る存在といっても過言ではないでしょう。
日本では演劇と言ったら東京などの都市部に固まってしまいます。しかし、ドイツでは各州で複数の立派な劇場を持っており、本当に州ごとで競い合って、各州の個性を出しながら、素晴らしい作品を住んでいる方に届けています。そして、連携も強く、明日本番なのに役者が風邪などで降板になると同じ演目ができる役者が飛んでいきます。
政府がどれくらい劇場にお金をかけているのかや演劇に対する価値観も日本と違います。
観客も自分の意見を持っていて劇後は知らないお客さんとも感想を語り合ったり、意見をぶつけ合ったりします。
ストーリーに感情移入して終わりの劇ではなく、社会問題(時には政治家に対するテーマも)に向き合った演劇が盛んです。ブレヒトの異化効果を反映した考え方です。
…日本には演劇、芸術をさらに普及させるための人材が必要だと強く思いました。
もちろん日本の良さというのもあるわけですが、ドイツと比較するともっとより良くできることがあるのではないかと考えてしまうわけです。
まだ実習は一週間あります。
ドイツで触れてきた本物を、感じた全てを日本で出し切りたいと思います。
全て出し切ったらどうするか。
そうですね。
またドイツに来て充電をするだけです。
あ、ソーセージはめっちゃ美味しいです!
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Ich hoffe, bald wieder etwas von Ihnen zu hören.
近々また、あなたとお付き合いがありますように。
Mit freundlichen Grüßen
ヨロコビゲッツ