ヨロコビゲッツ
第89回-②:学生BLOG【二人三記】「走るのみ!」
ハッ、ハッ、スゥ、スゥ。。。
走っていた。
久しぶりに走ったためか、呼吸は乱れがち。足が徐々に重たくなっていく。小学校、教科書の雑学コラムで覚えていた長距離を走るときの呼吸法を思い出し、それを実践するも、全く意味がなかった。
さすがに早朝。
寮から飛び出したが、まだ誰とも会っていない。
体が全力で訴えてくる。
おい、苦しから止まろうって。もう十分、走ったじゃないか、休もう、と。
男も走るのを止めたいと思った。だが、止めなかった。
走り続ける理由があったからだ…
・・・
ジャン!ジャジャ〜ン! ワン、ツウ、フ〜タリデ〜カク〜ゲイカン〜ダイセイーニッキ!ニニン〜サンキ!ドン!
・・・
12月に入ってきました。
筆者にとっては、様々な行事のカウントダウンがより鮮明になってくるイメージがある。
例えば、2023年が残り◯日だったり、成人(20歳)まで残り◯日だったり、クリスマスまで残り◯日だったりという感じだ。
(筆者は誕生日が正月のため、自動的に2023年残り何日は、歳のカウントダウンになってしまうわけだが)
そして、もう一つ。
舞台の本番まであと◯日。
実は、筆者は12月16日〜23日にある舞台芸術実習(PAP4)に出演する役者でもある。
遡れば、オーディションがあって、5月から活動。実習期間は稽古等がなかったため、実質、約5ヶ月間の活動になるが、ここまでの創作、シナリオ作りの過程には懐かしさがある。
稽古も着実に進み、大道具が加わったことで舞台が立体的になってきた。
小道具、衣装、音響、照明も徐々に加わってくることで、舞台の集大成がもうすぐ明らかになってくると分かると、心が踊ってくるのだ。
だとしても、本番が近いとやはり、緊張してくるものだ。
読者にも理解してもらえるだろうか。
筆者は高校時代、演劇部だった。大会の本番というものは何度も経験してきた。
(大会では勝敗がつくため、もちろん、複雑な思いの時もあったが、まさに青春だった。the部活という感じだったな。懐かしい、、、)
だが、違う緊張感というのもあるのだ。
つまり、高校時代と違う要素として、
上演時間が高校演劇の約2倍。計6ステージ。客席一般1000円。役者19人。
にプラスして、、、
専門職であって、国公立初の演劇を学ぶ大学で、先生方も学生も演劇の経験が豊富にあって、
プロの演出家ともやって…
…つまり、存在しないはずのプレッシャーというものを感じてしまった自分がいるのだ。
今まで、高校演劇という舞台にしか立ってこなかったから、全て初めての経験だ。
もちろん、やるべきことはわかっている。それは、一緒にやってきた先輩方の稽古姿からも分かるし、様々なワークショップ等での経験もきっと活かせるはずだ。
これは、あくまで筆者の考え(イメージ)だが、
自分が目指す演劇の完成形を100%とすると、
そのうちの30%は自分が全力で楽しめるかどうか、もう30%は同じ舞台に立ってる俳優と裏方とのコンビネーション、もう30%はお客さんとの反応、会話だ。
残りの10%はこうなる。
最初の3%はその時の健康状態、真ん中の3%はその時の天候、最後の3%は直近の出来事だ(なんか良いこと)。
そして、最後の1%は、、、神様が微笑んでくれるかどうかだ。
あくまで、筆者のイメージではある。それが合ってるかどうかは別としてだ。
つまり、自分だけが、ではなく、一緒に舞台に立つ方、支える方とのケア、お客さんに対する意識、
と、当日、自分にはどうにもできないことをどう委ねるか。
全てが100%上手くいくことが絶対ではなく、本番で、その時、その時に起きたことを楽しめるかどうか。
という余裕を持てるかどうかが大事なのかもしれない、、、うん。
何にせよ、やってみるしかない。時間は止まってくれないから。
というわけで是非、舞台を観に来てください!
最後に。
筆者は、神武山公園(写真)によくいっている。たまに、昼寝したり、台本を読んだり…
大学の裏にある、豊岡城本丸があった場所だ。標高49mの山だが、市街地を一望できるのだ。
是非、そこにも行ってみてください。(入口は迷うかもしれませんが)
・・・
スゥ、スゥ、ハァ、ハァ、、、
男は走っている。
白く町に溶け込んでいた霧が、オレンジと銀の日光に染まっていき、消えていく。
駅前にはタクシーが止まりだし、人通りも僅かだが、増えてきた。
温まってきた体が冬の寒さに勝とうとしている。
男は決めた。
初雪はまだ来ない。
次の電柱までは止まらず走ろうと。
・・・
ヨロコビゲッツ