参加学生インタビュー
松田さん
(韓国・ソウル芸術大学校、期間:2023.8~2024.6)
今回は、ソウル芸術大学に1年間留学をされた松田さんから留学中のお話を伺いました。
Q1. なぜソウル芸術大学に留学しようと思ったのですか?
小学校4年生の頃に見たドラマ『Woman』の満島ひかりさんの演技に感動したことをきっかけに、私も見る人に感動を与えられる女優になりたい!と思うようになりました。演技を深く学びたいと考えてCATを受験しましたが、実際に入学してみると演技を学ぶ実技授業以外の科目が多く、放送映像を本格的に学べるソウル芸術大学で演技を学びたいと考えました。ソウル芸術大学はとても競争率の高い名門大学です。なかでも演技専攻に正規生として入学するためには、約100倍の倍率を勝ち抜く必要があります。そんななかで交換留学生としてソウル芸術大学に入学できたことはとても幸運でした。
Q2. ソウル芸術大学ではどのような授業を履修しましたか?
私は公演学部の演技専攻に入学しました。「歌を歌う」という実技授業は、自分が選んだ課題曲(韓国語)をソロで歌い、担当教員から評価を受けるというものでした。最初は緊張して思うように歌えず悔しい思いをしましたが、少しずつ自信を持って歌えるようになりました。「制作実習」の授業では、チームで短編映画を作りました。私は希望していた役のオーディションには落ちてしまったのですが、「日本人の音響」という役をもらい、韓国語と日本語で演じることができました。脇役でしたが、実はキーパーソンというおもしろい役でした。また、私たちのチームの作品がソウル芸術大学のアプロプロジェクトの優秀作、そして釜山大学映画祭の上映作品にも選抜され、高く評価してもらえたのが本当に嬉しかったです。
Q3. 留学前、韓国語はどの程度話せましたか?
高校生の頃に本格的に韓国語を勉強し始めたので、留学前には韓国語はある程度話すことができました。ただ、知識はあったのですが、実際に話すという経験はほとんどなかったので不安はありました。留学して少し経ったころ、周りに日本人学生がほとんどいなかったこともあり、ある時「もう、韓国語話せない!話したくない!!」という気持ちなり、寮に閉じこもってしまったことがありました(笑)その後なんとか気持ちを切り替え、そこから韓国語がメキメキ上達したように思います。実技の授業ではグループワークが多く、白熱した議論が交わされます。感情的になると早口になるので、会話を聞き取るのが大変でしたが良い訓練になったと思います。
Q4. 大学寮での生活はどうでしたか?
ソウル芸術大学の寮は二人一部屋で、CATのように個室はありません。寮にはキッチンがないので、食事はほとんど外食でした。私のルームメイトは劇作専攻で、課題がとても多く、大学の共有スペース(24時間開いています)でいつも作業していたので、あまり部屋に帰って来ませんでした。私自身も「演技実習」の中間テストに向けた課題にグループで取り組む必要があったのですが、みんなの時間がなかなか合わないので、深夜に集合して話し合いをすることも少なくありませんでした。そんな深夜や早朝までの話し合いが重なっていくと、やはり体調を崩したり、しんどいなと思うこともありました。
Q5. 週末や、長期休暇はどのように過ごしましたか?
実は留学中、観光に出かけたりする時間がほとんどなく、あのドラマで良く出てくるソウルタワーにも行っていません(笑)週末は課題をこなすことに必死で、大体大学にいました。一度、姉が日本から遊びに来てくれたので、その時は思いっきり観光しました!広蔵市場で美味しいユッケを食べたり、景福宮に足を運んだりして、とてもリフレッシュできました。日本と韓国はとても近いですが、留学期間で日本に帰って来たのは冬休みの1回だけでした。ソウル芸術大学に在籍している有名歌手が学園祭の時に来てくれて、生歌を聞けたのは良い思い出です。
Q6. 留学中、苦労したことや大変だったことはありましたか?
私は辛い食べ物が苦手で、自炊もできなかったので、食べられる料理を探すのに最初は苦労しました。ツナマヨ、チキンマヨなどとりあえずマヨネーズ風味のものを探したり、サムギョプサルやプルコギ味のもの、あとは日本食を食べていました。授業で短編映画を撮影した時、スタジオを24時間借りて撮影をしたのですが、深夜の2時に撮影が始まり、翌日の2時に終了するという過酷なスケジュールで、眠すぎて意識が飛ぶという経験を初めてしました。あと、歌の中間テストの直前に体調不良で声が出なくなり、歌を歌えないという事態になってしまった際に、親身に対応してくださった担当の先生には本当に感謝しています。
Q7. 留学して良かったですか?
これは留学に行ったほとんどの人が経験することかもしれませんが、日本を出て外国に住んだことで、日本の魅力に改めて気づくことができました。今までは当たり前に思っていたことも、外国では当たり前ではないと、実際に肌で感じられることも留学の醍醐味だと思います。あと、今、CATに留学しているソウル芸術大学の学生がいるのですが、彼とはソウル芸術大学で同じ授業を履修していました。彼とこの豊岡の地で再会できたことが本当に嬉しいです!小さいころは女優になりたいと思っていましたが、ソウル芸術大学への留学を経験して、日本人俳優の新人開発や育成に携わるお仕事をしたいという新しい目標を見つけました。留学中の辛いことも楽しいことも全ての経験が今の自分の価値観に繋がっています。ぜひ、大学生のうちに留学に行って欲しいです!
前川さん
(ドイツ・トリア大学、期間:2024.3~2024.7)
今回お話を伺ったのは、本学から初めてドイツのトリア大学に留学された1期生の前川さんです。
Q1. なぜトリア大学に留学しようと思ったのですか?
高校生の時に北欧の大学への入学を計画していましたが、高校の事情やコロナ禍で泣く泣く断念しました。大学に入学して、授業や課外活動などで忙しい日々を送っていましたが、ふと忙しさの波が引いたタイミングで「留学するなら今しかない!」と思い立ち、国際交流センターに相談に行きました。そこで、アートマネジメントやパフォーミングアーツを学ぶならトリア大学が良いのではと勧めていただきました。
Q2. 交換留学前の手続きで大変だったことはありますか?
初めは、トリア大学の担当者から大量に届く長文のメールにとても驚きました。 公式書類は全てドイツ語と英語の両方で書かれていたので、留学前から読解力を鍛えることができました。細かいルールや規則などを丁寧に教えてくださるので、情報量は多いですが、その分安心して準備を進めることができました。もちろん分からないことばかりなので、分かるまで担当者に聞く!という姿勢が大切です。
Q3. トリア大学ではどのような授業を履修しましたか?
私は半年間滞在して4科目の授業を履修しました。日本のパフォーミングアーツ、日本文学の空間性、ドイツ語、英語の授業です。どの授業もとても興味深く楽しかったのですが、特に印象に残っているのは、日本のパフォーミングアーツの授業で「文楽」を学んだ時です。ドイツ目線で日本のパフォーミングアーツはどのように捉えられているのか興味がありました。日本人なので質問されることも多かったのですが、今まで文楽に触れたことがなかったためあまり知識がなく、芸術文化を日本で学んでいる身として自国の文化をあまり知らないことに情けなさを感じました。そこで、予習や復習を何度も繰り返しました。授業は基本的にはドイツ語だったので、初めは苦労しましたが、周りの友達にたくさん助けてもらいました。
Q4. 寮での生活はどうでしたか?
トリア大学には寮が全部で4つあり、私が滞在したのはペトリスバーグというシングルの部屋でした。日本の単身アパートと同じで、部屋にトイレとキッチンがあり、とても快適に過ごすことができました。一度だけ、数日間電気が使えないというトラブルに見舞われましたが(ドイツでは週末に誰も働かず、電気屋さんに連絡できなかったため)、パソコンや携帯から離れて、近所をのんびり散歩して良い気分転換になりました。笑
Q5. トリア大学ではどのようなサポート体制がありますか?
ドイツ人の先生が2人、交換留学生の担当として色々とサポートしてくださいました!他にもタンデムという言語パートナー制度を利用していたので、ドイツ語も留学前と比べると大幅にレベルアップしました。大学でのサポートももちろんありますが、私はドイツ人の友達にたくさん助けてもらいました。履修登録のこと、授業のこと、分からないことばかりでしたが、彼女達のおかげで本当に楽しい留学生活を送ることができました。実はそのうちの2人が今日本の大学に留学していて、今度私の公演を見に来てくれるんです!こうやって交流が続いているのがとても嬉しいです。
Q6. 留学中、苦労したことや大変だったことはありましたか?
留学して実感したのは、留学前にもっとドイツ語を勉強しておけば良かったということです。これから留学を考えている方には、ぜひ留学先の言語をしっかり習得してから出発することをお勧めします。海外に住むのはドイツが初めてでしたが、ドイツの気候、文化、食事が私には合っていたので、特に苦労はしませんでした。時々、嫌な思いをする出来事はありましたが、どこの国でもそういう人はいると割り切って受け流すように心がけていました。
Q7. 留学してよかったですか?
とにかく学びが多かったです。最初のころは、ドイツの生活マナーや文化を知らなかったので、恥ずかしい思いをすることもありましたが、「分からないのは仕方ないこと、周りの人にたくさん質問して学ぼう!」というマインドに切り替えることで乗り越えられました。また、留学中にはドイツ国内はもちろん、周辺国の様々な劇場に足を運び、ヨーロッパの劇場文化を目の当たりにしました。CATで勉強したアートマネジメントの世界を実際に見て感じたことを、卒業研究として発表する予定です。半年間の留学はとても短く感じましたが、数多くの刺激を受けて私自身大きく成長できたと思います。